未経験からタクシードライバーへ！二種免許取得と養成制度の実体験ガイド

タクシードライバーとして働くためには、普通自動車第二種運転免許（以下、二種免許）の取得が必須です。

しかし、二種免許取得には費用や時間がかかります。

タクシー会社の「養成制度」を活用すれば、経済的な負担を軽減してタクシードライバーとしてのキャリアをスタートできます。

本記事では、二種免許取得のステップや養成制度、さらに求人の探し方まで詳しく解説します。

筆者の体験談や業界の現状も交えながら、未経験者がタクシードライバーになるまでの道のりを具体的に紹介します。

タクシードライバーに必要な資格

まずは、タクシードライバーを目指すために必要な資格や条件をしっかり確認しておきましょう。

ここをクリアしないとスタートラインにも立てません。

 タクシードライバーになるためには、法律上必要な資格が定められています。

それらのポイントをひとつずつ押さえていきます。

二種免許について

タクシードライバーとして働くには、普通の運転免許だけでは足りません。

お客様を乗せて運行するために、必須となるのが「普通自動車第二種運転免許（二種免許）」です。

ここでは、二種免許の取得に必要な要件や、特に重要な検査項目について詳しく説明していきます。

要件

要件	詳細
年齢	21歳以上
普通免許所持期間	通算3年以上（免許停止期間を除く）
適性検査	視力、深視力、色彩識別能力、聴力、運動能力が基準を満たすこと

深視力とは

深視力は、物体の遠近感や奥行きを正確に把握する能力のことを指します。

運転中に車間距離や障害物の位置を正確に判断するために必要とされます。

二種運転免許の取得時には、この検査が必須となります。

免許取得方法

二種免許を取得する方法はいくつかあります。

効率よく、かつ確実に合格するためには、自分に合った取得ルートを選ぶことが大切です。

ここでは、指定教習所を利用する方法と、一発試験の違いについて詳しく紹介します。

取得方法と期間の目安

取得方法	概要	期間・難易度
指定自動車教習所での技能講習	学科講習と技能講習が行われる。技能講習では、一種では実施しない技能演習を行う。受験資格特例教習1を利用すれば、さらに短期間で取得できる場合もある。	最短約1～2ヶ月（週3～4回の教習を受講した場合）、平均約2～3ヶ月（週1～2回の教習を受講した場合）
一発試験	運転免許センターで直接試験を受ける方法。	合格率は相当低い。

普通自動車二種免許を教習所で取得するまでの流れ【6ステップ】

指定自動車教習所での二種免許取得は、もっともオーソドックスで安心できる方法です。

二種免許取得養成制度で負担軽減

二種免許取得にはまとまった費用がかかりますが、タクシー会社による「養成制度」を利用すれば、その負担を大幅に減らすことができます。

ここでは、養成制度を利用するメリットや、支援内容について詳しく見ていきます。

費用の一部または全額を負担

地域とタクシー会社によって異なりますが、養成制度は二種免許の取得費用の一部または全額（約20～30万円）を負担してくれます。

筆者が就職したタクシー会社では、二種免許取得費用を全額負担してくれました。

保証給制度

研修期間中の日当や時給を支給する会社もあり、収入を確保しながら二種免許取得が可能です。

私がオンライン面談を受けたタクシー会社は研修期間中に日当が1万円支給されるとのことでした。

また、乗務開始から数ヶ月もしくは1年間などの保証給があるタクシー会社もあります。

筆者は保証給のあるタクシー会社に就職し、大変ありがたかったです。

支援を受ける条件

支援を受けるには、「一定期間勤務する」ことが条件となることが一般的です。

筆者は2年間の継続勤務を条件として、免許取得費用を会社に負担していただきました。

これは、会社が取得支援の費用を回収しつつ、未経験者が「やはり稼げない」という短期離職を防ぐためですが、長期的に働く意思のある方にとっては大きなメリットです。

タクシー会社の求人の探し方

未経験者が安心して働けるタクシー会社を探すための具体的な方法とポイントを紹介します。

求人サイトの活用

多くのタクシー会社の求人が掲載されており、比較検討しやすいです。

勤務地、給与、雇用形態など希望条件で絞り込み検索が可能。

応募もサイト上で完結することが多いです。

注意点：情報が古い場合があるため（○○日前の表記など）、応募前に最新情報を確認しましょう。

求人サイトによって掲載されている会社が異なるため、複数のサイトをチェックするのがおすすめです。

代表的な求人サイト比較（タクシー特化の求人サイト）

求人サイト	特徴
indeed	全国各地のタクシー会社の求人が掲載。詳細な条件で絞り込み可能。企業の口コミや評価も確認できる。
求人ボックス	詳細な条件で求人を絞り込み可能。インターフェースがシンプルで使いやすい。
バイトルNEXT	安定した雇用形態を求める方に適した求人が豊富。会社の雰囲気や社員の声など情報が充実。

タクシー会社の公式ホームページ

求人情報について詳細な説明がある事があります。

福利厚生について

筆者の地域の求人で見られる福利厚生についてまとめます。

福利厚生	内容
社会保険	健康保険、厚生年金保険、雇用保険、労災保険に加入可能
制服貸与	制服を無料で貸与
社員寮	社員寮を完備している場合がある
資格取得支援制度	二種免許やその他の資格取得費用を会社が負担してくれる場合がある
健康診断	定期的に健康診断を受診可能
社員割引	グループ会社のサービスを社員割引で利用可能

その他チェックポイント

• 社長メッセージ・社員インタビュー
• 研修制度・キャリアプラン
• 安全への取り組み
• 地域貢献活動
• 最新ニュース・イベント情報
• 採用担当者の声
• 企業独自の取り組み
• 実際のタクシー車両の情報

求人サイトの情報はあくまでも概要です。

タクシー会社の公式サイトを確認することで、より詳細な情報を得ることができ、入社後のミスマッチを防ぐことができます。

実際に利用してドライバーに話を聞くのも有効

筆者は、実際にタクシーを利用し、複数のドライバーに勤務先の条件や待遇について直接聞いて回りました。

ネットの情報だけでは分からない業界のリアルを知ることができました。

ハローワークの利用

地域密着型の求人情報が豊富です。自宅から近い職場や、地域に貢献できる企業を見つけやすくなります。

また、専門の職員が職業相談や紹介を行っており、希望や適性に合った求人を紹介してもらうことも可能です。

雇用保険の受給資格がある場合、ハローワークを通じて求職活動を行うことで給付を受けながら仕事を探すことができます。

ハローワークに掲載される求人情報は一定の審査を経ているため、信頼性が高いと言えます。

注意点：求人情報の更新頻度や内容が求人サイトと異なる場合があり、紹介された求人が必ずしも自分の希望に合致するとは限りません。

複数の情報源を比較検討し、慎重に判断することが大切です。

会社選びのポイント

後悔しないタクシー会社選びのために、押さえておきたいチェックポイントをまとめます。

一番大切なのは、会社のネームバリューと営業所の立地です。

他に押さえたい点を以下に述べます。

事前に会社説明を受ける

採用担当から会社説明を受ける際に、疑問に思うことは事前に書き出して質問するといいでしょう。

歩合制であれば歩合率はどの程度か必ず聞きましょう。収入に直結します。

定期的に説明会を開催している会社もあります。

給与体系の違いに注意

給与体系

給与体系	概要	メリット・デメリット
歩合制	売上に応じて変動	スキル次第で高収入も可能。ただし収入が不安定。
固定給＋歩合制	安定収入に成果報酬が加算される	安定と高収入のバランスは取れるが、歩合制に比べると高収入を得にくい。
保証給制度	一定期間は固定給が保証される	収入が安定。ただし一定期間後は歩合制になる場合が多い。

会社の待遇をしっかり比較

• 二種免許取得支援の有無
• 研修期間中の給与の有無
• 乗務開始後の保障給与の有無
• 福利厚生（社会保険、寮完備、割引制度など）の内容

タクシー業界の現状

タクシー業界は、パンデミックによる高齢ドライバーの離職や人材不足に直面していますが、その反面、新たなドライバーにとっては働くチャンスが広がっています。

パンデミックで高齢ドライバーが離職

高齢ドライバーが復帰しない理由として、健康面やリスク回避の意識が高まっていることが挙げられています。

一度離職したことによる働くことへのモチベーションも関係していると考えます。

人材不足の問題

タクシードライバーの高齢化が進んでおり、タクシー会社は資格取得支援や保証給制度を充実させ、若年・ミドルシニア層の確保に動いています。

私がタクシー会社を訪れたとき、「人材不足のピークは過ぎたけど、まだ深刻な状況だ」という話を聞きました。

筆者がタクドラになるまで

筆者がタクシードライバーを目指した際の体験を共有します。

タクシー会社数社を訪問

まず、近場のタクシー会社数社を訪問しました。

各社の採用担当者から、「歩合率」（売上からドライバーが受け取れる割合）や給与体系、勤務条件などの説明を受けました。

ここで知る事ができたのが、会社によって歩合率や福利厚生が大きく異なること。

例えば、A社は歩合率が高い代わりに保証給がなく、B社は歩合率は低めだが保証給があるなど、それぞれ特徴がありました。

「歩合率が高い方が稼げる！」と思いますが、保証給がある方が初期の収入が安定するので、未経験者にはありがたい制度です。

求人探し

次に、名前を知っているタクシー会社かつ家に近い営業所の求人を探しました。

公式サイトや一般求人サイトをチェックし、いくつか候補を絞り込みます。

経済的負担を軽減するため、「二種免許取得支援」があるかどうかを重点的に確認しました。

そして、「家から近い方が、何かと便利だし、無駄な時間や費用をかけずに済むだろう」。

そう思って選んだ営業所。この選択に悔いはありませんが、その時はまだ知らないことが多すぎました。

面接

求人が見つかったら、採用担当者に連絡を取って面接の日時を決めます。

面接では「なぜ当営業所を選んだのか？」「今までの職歴」などを質問されました。

ここで重要なのは「長期的に働く意思があること」をアピールすること。

二種取得支援を受ける場合、多くの会社で「複数年の勤務が条件」とされるため、覚悟を持って臨みましょう。

後日聞きましたが、対面しての雰囲気と過去の接客業の経験をみるそうです。

必要書類の提出

内定をいただくと、次は関係書類の提出です。

自費で受診する健康診断書や保証人を明記した書類を準備し、採用担当者に提出しました。

健康診断は予約が必要な場合が多いので、余裕を持って行動しましょう。

資格取得支援で自動車教習所へ入校

次は「普通自動車第二種運転免許」の取得です。

タクシー会社の二種免許取得支援で、提携している自動車教習所へ入校することに。しかも、書類を提出した翌日から。

明日が入校式ある日だからとのこと。

「え、明日から！？」急な展開に驚きました。

自動車教習所では学科講習と技能講習を受講。

特に技能講習では、「お客さんを乗せた状態での運転」を想定した練習が多く、一種免許とは違った難しさがあります。

技能講習では様々な教官から同乗指導を受け、無駄話をしない方もいれば、たくさん話す人もいたり、厳しいプロフェッショナルな方もいました。

自動車教習所で知ったこと

自動車教習所で他のタクシー会社の支援を受けている人と仲良くなり、お互いの会社の話をしているうちに、筆者の会社の歩合率が低いことがわかりました。

さらに、相手の方は保証給に加えて支度金もあるとのこと。

正直、乗り換えたい気持ちが頭をよぎりました。

しかし、取得支援分の返金や業界での評判を考えると、我慢するしかないと思いました。

相手の会社は歩合率が高いものの、縛りが3年と長く、筆者の会社は2年です。

それでも、支度金がないことは悩ましかったです。

卒業検定で一度失敗する

そして迎えた卒業検定。

筆者は緊張のあまり、鋭角を曲がる際に「縁石にぶつかった」上に、切り返すために後退しようとした際に「後方確認を忘れる」という二つのミスを犯し、検定は即終了。

落ちてしまいました。

再検定のための補講を受け、鋭角の曲がり方を重点的に練習しました。

再受験では、緊張しながらも前回の失敗を糧に、後方確認を徹底することを心がけ、無事卒業しました。

再検定などは自費で、会社ケチだなと思いましたが、家に近い営業所を選んだことには悔いはありません。

まとめ

タクシードライバーになるまでの道のりは思っていた以上に大変でしたが、二種免許取得支援を受けて経済的な負担を軽減しながらスムーズに進めることができました。

これからタクシードライバーを目指す方には、「情報収集をしっかり行うこと」を頭においてください。

この記事が、タクシードライバーを目指す方にとっての一歩踏み出すきっかけになれば幸いです。

「どの勤務体系が自分に合っているか迷った方へ」

→ タクシードライバーに向いている人・向いていない人とは？未経験者向けガイド