40代・50代での転職。
「この年齢から新しい仕事が務まるのか?」「体力はもつ?」「家族は納得してくれる?」
そんな不安を抱えて、このページにたどり着いた方も多いのではないでしょうか。
筆者も40歳でタクシー業界に飛び込んだひとりです。
公務員、福祉業界を経ての転職。はじめは「こんな年齢から通用するのか?」と自問自答しながらのスタートでした。
でもいま、心から「この仕事を選んでよかった」と感じています。
このページでは、筆者自身の体験をベースに、中高年からタクシードライバーへ転職する際に直面する悩みや、その乗り越え方、やりがい、家族の説得法までをリアルにまとめました。
もしあなたが、
- 今の働き方に限界を感じている
- 定年後も働ける仕事を探している
- 家族との時間を大切にしながら働きたい
そんな思いを抱えているなら、タクシードライバーという選択肢は決して遅すぎる道ではありません。
まずは多くの方が感じる「中高年転職の不安」から、一緒に整理していきましょう。

タクまる|現役昼日勤ドライバー(中の人のリアルを代弁中)
元・公務員→福祉業界を経て、地方で昼日勤として働くタクシードライバーに転職した「中の人」の体験談を、タクまるがわかりやすくお伝えします。
第1章:中高年の転職で最初にぶつかる「3つの不安」
「もう40代に入ってるし、転職は厳しいかもしれない…」
筆者がそう思いはじめたのは、転職活動を始めて求人サイトを見たときでした。「35歳以下限定」「第二新卒歓迎」といった条件が並び、40代前半の自分にはそもそも選考対象にならない業界ばかり。
その中で目に入ったのが、タクシー業界でした。
年齢がネックになるのでは?
転職市場では、年齢を理由に選考から外されることは少なくありません。
しかし、タクシー業界では事情がまったく異なります。
筆者が入社した会社でも、40代・50代からスタートする仲間が多くいました。年齢よりも「まじめそうか」「受け答えが丁寧か」など、人柄を重視した採用をしていると後日所長から聞いた話しが印象的でした。
同じタイミングで入社した40代後半の方は、乗務開始から2〜3ヶ月で売り上げ上位に。
経験や年齢はハンデではなく、むしろ強みとして結果を出せる業界だと感じさせられました。
体力が持つか不安…
「毎日長時間の運転って、やっぱりキツいのでは?」
筆者もその点が心配で、転職をためらった理由の一つでした。40歳を過ぎてからは、長時間運転すると疲れが翌日まで残るようになった実感がありました。
でも、実際に働いてみると想像と違いました。
タクシーの仕事は「走り続ける」のではなく、乗客がいなければ休憩も可能。お客様を乗せている間も、安全第一で落ち着いた運転が求められるため、無理にスピードを出すこともありません。
- 会社によっては昼日勤・短時間勤務など柔軟なシフトあり
- 無理のないペースで乗務できる環境が整っている
筆者の1日の乗務時間は平均で7時間ほど。
間に1時間以上しっかり休憩を取れる日も多く、体力的な不安は想像よりも少なかったというのが本音です。
家族や親に反対されそう…
筆者にとって、転職で一番緊張したのは家族への説明でした。
妻は「生活に無理がなければいいんじゃない?」と応援してくれましたが、両親からは予想通りの反応が…。
「なんでタクシーなんかを選ぶの?」
「ちゃんと食べていけるのか?」
そんな言葉に、内心グサッときました。
でも、「高齢者の通院支援や観光客の送迎など、地域に役立つ仕事だ」と丁寧に説明し、実際に働いている姿を見せることで、少しずつ信頼と理解を得られるようになりました。
最終的には、親の通院を自分が担当することもあり、「本当に役に立ってるんだな」と納得してくれた様子でした。
不安はあって当然。でも、一つずつ向き合えば道は開ける

- 年齢はマイナスではなく、むしろ評価される要素になる
- 体力的な不安は、勤務スタイルと習慣次第でカバーできる
- 家族の反対も、行動と説明で少しずつ信頼に変えられる
中高年の転職には、悩みも不安もつきものです。
でも、それを理由にあきらめず、一つずつ乗り越えていくことで見える景色が変わる。筆者はそう感じています。
第2章:タクシードライバーは“中高年に向いている”と言える理由
「この歳から新しい仕事を始めて、ちゃんと通用するのだろうか…」
筆者自身、40代での転職にそんな不安を抱えていました。でも実際にタクシー業界に入ってみて思ったのは、「これはむしろ中高年に向いている仕事だ」ということです。
人生経験や落ち着きが“信頼”になる仕事
タクシーでは、スピードや若さよりも、落ち着き・気遣い・安心感が求められます。
乗客の多くは高齢者や観光客。「任せて大丈夫」と思ってもらえるかどうかは、人柄や雰囲気が大きく影響します。

実際、「若い人より、あなたぐらいの方が落ち着いてて安心できる」と言われたことが何度もあります。
社会人としての経験が長いからこそ、話題の引き出しや言葉遣い、接し方にも自然な余裕が出てくる。これが乗客との信頼関係に直結します。
「誰かの役に立っている」と実感できる仕事
タクシーは、ただ人を運ぶだけの仕事ではありません。
高齢者の通院や買い物、駅や空港への送迎、観光客の案内など、地域の暮らしや観光を支える重要なインフラでもあります。
「またあなたでよかった」
「前も乗せてもらいましたよね」
そんな言葉をいただけると、この仕事を選んで本当に良かったと思えます。
社会に必要とされている感覚。自分の役割がはっきりしている実感。これは、以前の仕事ではなかなか得られなかったものでした。
働き方の選択肢が多く、無理なく続けられる
タクシー業界は、働き方の柔軟さも魅力のひとつです。
- 昼日勤のみ、週3〜4日勤務
- 土日だけ働く
- 短時間の勤務(5〜6時間など)にも対応可能な会社もある
筆者の会社でも、家庭の事情や体調に合わせてシフトを調整している仲間が多くいます。特に中高年ドライバーは、自分に合ったペースで無理なく働いている方がほとんどです。
タクシー業界は「中高年歓迎」には理由がある
- 年齢を重ねた“安心感”や“誠実さ”がそのまま評価される
- 地域や人の役に立っている実感を得やすい
- 働き方を調整できるから、体力に合わせて続けられる
40代・50代だからこそ、向いている部分が多い仕事。
不安よりも「フィットする実感」のほうが、働き始めてからはずっと強くなりました。
第3章:体力・スキル・収入…中高年が直面しやすい課題とその乗り越え方
最初の数週間、正直言って「これは無理かも」と思った瞬間が何度かありました。
40代に入ってから新しい業界に飛び込むのは、想像以上に大変です。覚えることは多いし、体力面も不安。でも一番効いたのは、「本当に稼げるのか?」という疑問でした。
そんな中で励みになったのは、同じタイミングで入った40代後半の同僚が、乗務開始から2〜3ヶ月で売上上位に入っていった姿でした。
「年齢を理由に諦めなくていいんだ」と、自分の中で大きく意識が変わったのを覚えています。
【課題①】体力や健康面の不安
まず気になったのは「一日中の運転に体がついていくのか?」という点。
筆者も40歳を超えてから、長時間の運転で翌日まで疲れが残るようになっていました。
ところが実際には…
- 乗客がいなければ自由に休憩できる
- シフト次第で短時間勤務も可能
- 安全運転が前提で、スピードや体力勝負の仕事ではない
筆者の1日あたりの乗務時間は平均7時間程度。途中で1時間以上の休憩を挟む日も多く、無理のないペースで続けられています。
【課題②】機器操作や業務ルールの習得
ナビやタブレット端末、配車アプリ、料金メーター…。
筆者は新しい機械が苦手で、正直かなり苦戦しました。



最初は乗務中にメモ帳を開きながら操作してました(笑)
でも周りを見れば、自分だけじゃなかったのです。
会社には同乗研修や先輩ドライバーからのサポートが用意されていて、分からないことはすぐ聞ける空気がありました。
今では自然に操作できるようになり、「なんであんなにビビってたんだろう」と笑えるようになりました。


【課題③】収入の安定性への不安
「歩合制=ギャンブル」という印象を持っていた筆者にとって、ここが一番大きな壁でした。
でも実際には、今のタクシー業界には安定収入を得る仕組みが複数あると知り、印象がガラリと変わりました。
- 配車アプリ経由の仕事が中心で“流し”は少なめ
- 駅や施設の待機所で安定的に乗車チャンスあり
- 短距離・回転率重視でも十分に数字が立つ
筆者自身は、「ガツガツ稼ぐ」タイプではありませんが、生活費+αの収入を安定して得られるようになりました。
「できるだろうか?」という不安こそ、最初の壁。でも、越えられる壁だった
- 体力 → 無理のない勤務スタイルと休憩の工夫でカバーできる
- 機器操作 → 教わる機会が豊富で、時間をかければ必ず慣れる
- 収入 → 今の時代に合った働き方で安定を確保できる
「もう遅いかも」と思いながら始めたこの仕事ですが、周囲の仲間や仕組みに支えられ、少しずつ不安を乗り越えてきました。
年齢ではなく、“やる意思”のほうがずっと大事。筆者はそう感じています。
次章では、「この仕事を選んでよかった」と心から思えた出来事ややりがいについてお話しします。
第4章:「選んでよかった」と実感できた中高年転職のやりがい
この仕事を始めてから、何度も「やってよかったな」と思える瞬間がありました。
40代で転職する前、筆者は「自分に向いている仕事なんてあるんだろうか」と半ば諦めかけていましたが、いまは毎日の中に確かな手応えを感じています。
感謝の言葉が、まっすぐ届く
ある日、通院帰りのおばあさんを送迎した際のこと。
目的地に着いたとき、「たくさん話を聞いてくれてありがとう。元気が出たよ」と言われたことがありました。


ほんの15分ほどの乗車時間。でも、その間に話したのは、昔住んでいた地域のこと、趣味の話、最近の天気のこと。
特別な話じゃないのに、感謝される。それがこの仕事の魅力だと思いました。
「あなただから頼んだ」と言ってもらえることがある
地元の常連さんから「またお願いしたい」と言われるたび、信用されている実感が湧きます。


特に年配の方や女性のお客様は、「安心できる運転手」を覚えてくれていて、名前までは覚えられなくても「この前の人」と言ってくださることが増えてきました。
繰り返し声をかけられるということは、自分の接客や運転を信頼してくれている証拠。これは、前職ではなかなか得られなかった感覚でした。
苦手だったことが、少しずつ“得意”に変わっていく
筆者は元々、機器操作も接客もあまり得意ではありませんでした。
でも、毎日乗務を重ねていくうちに、配車アプリやナビの操作にも慣れ、タブレットも迷いなく扱えるようになってきました。
乗客とのやりとりも、以前のように緊張しなくなり、落ち着いて自然に応対できるようになったと感じています。
そんなある日、常連のお客様との会話中に「ドライバーになってどのくらいなんだい?」と聞かれたことがありました。
「まだ数ヶ月なんです」と答えると、「そうは見えないね、ずいぶん落ち着いてるよ」と言っていただけて、とても嬉しかったのを覚えています。



自分ではまだ新人のつもりだったけど、少しずつ“この仕事が自分に馴染んできた”という実感が持てた瞬間でした。
やりがいは、感謝と成長の中にある
- 「ありがとう」と言ってもらえる機会が多い
- 地域で“顔なじみ”になれる喜びがある
- 年齢に関係なく、自分の成長を感じられる
40代・50代での転職は不安もありますが、そのぶん報われる瞬間の温度も高い。
筆者にとっては、“収入”以上に“感謝”がやりがいの中心になっています。
次章では、「家族や親からどう理解を得たか?」という、もう一つの大きなハードルについて実体験ベースでお話しします。
第5章:家族や親にどう伝えたか?転職を理解してもらうまでの道のり
転職を決めるうえで、いちばん神経を使ったのは「親の反応」でした。
妻は比較的すんなり受け入れてくれたのですが、両親には最初から大反対されました。
「40代でタクシー運転手?苦労するんじゃないのか?」
「本当にそれで生活していけるのか?」
否定的な言葉を突きつけられると、やはりグラつきます。
でも、自分の中ではすでに「この道でやっていきたい」という気持ちが固まっていたので、一つずつ誤解を解きながら進んでいくしかないと思いました。
「地域に必要とされる仕事」だと具体的に説明した
筆者が選んだのは、地方での昼日勤。観光や通院などの移動手段が限られる地域において、タクシーは生活に直結する“足”です。
- 通院サポートをしたときの話
- 雨の日に買い物帰りのお年寄りを送ったときの話
- 遠方から来た観光客が「ありがとう」と言ってくれた話
そんなエピソードを交えて、「誰かの役に立っている仕事」だということを繰り返し伝えました。
最初は腑に落ちていなかった親も、少しずつ話を聞いてくれるようになっていきました。
「やれるうちは、自分で働きたい」と伝えた
説得の決め手になったのは、感情的な反発ではなく、自分の意思を冷静に伝えることでした。
「生活に余裕がないのは分かってる。だけど、誰かに頼るんじゃなくて、自分の力で家族を支えたい」
「贅沢をしたいんじゃない。やれるうちは自分でやるから、反対しないで見守ってほしい」
この言葉は、時間をかけて少しずつ届いていったように思います。
実際に働いている姿が、なによりの説得材料になった


理屈だけでは、人の気持ちはなかなか動きません。
一番効果があったのは、楽しそうに働いている筆者の様子を見せられたことでした。
ある日、親の通院に合わせてタクシーで送り迎えをした際、「お前がこうやって役に立ってるなら、それでいい」と言われたのを今でも覚えています。



家族の信頼は、言葉よりも行動で勝ち取るものだと実感しました。
家族の理解は、正面から向き合えば少しずつ得られる
- 「反対されたから無理」ではなく、“なぜこの仕事を選んだか”を丁寧に伝えることが大切
- 日々の会話の中で、仕事の意味・やりがいを具体的なエピソードで共有する
- なにより、「元気に働いている姿」が一番の説得材料になる
自分が納得して始めた仕事なら、その姿勢はきっと周囲にも伝わります。
次章(第6章)では、これまでの内容をふまえつつ、「中高年でも無理なく働ける理由」をまとめていきます。
第6章:40代・50代からでも、納得できる働き方は見つかる


転職に不安がない人なんて、ほとんどいません。
ましてや40代・50代ともなれば、年齢や体力、家族のことなど、考えるべき要素が一気に増えてきます。
筆者もその一人でした。
でも、不安があるからこそ、自分に本当に合った働き方を見つけようと真剣に向き合うようになった。
その結果、タクシードライバーという仕事にたどり着きました。
年齢は“ハンデ”ではなく“信頼感”に変わる
タクシー業界では、若さやスピードよりも、誠実さ・落ち着き・気遣いが求められます。
- 「お兄さんぐらいの年齢のほうが安心する」と言われたこともあります
- 地元のお客様に顔を覚えてもらい、「またお願いね」と言ってもらえることも
これは、40代・50代だからこそ得られた信頼感だと思っています。
働き方次第で、体力の不安もカバーできる
筆者は現在、昼日勤で平均7時間程度の乗務。
無理せず、適度に休憩も取りながら働いています。
- 短時間勤務や週3〜4日など、柔軟なシフトに対応している会社も多い
- 自分の体力や家庭の都合に合わせて働ける環境がある
「こう働きたい」に近づける仕事であることは間違いありません。
家族や周囲の理解も、後からついてくる
最初は反対された親も、今では応援してくれています。
言葉で説明するより、行動で見せることがいちばんの説得になります。
「お前がちゃんとやれてるなら、それでいい」
この一言がもらえたとき、心の中でガッツポーズをしました。
そして何より、「自分の成長」が実感できる仕事
苦手だった接客や機器操作も、今では自信を持って対応できるようになりました。
何歳からでも、“できなかったことができるようになる”という感覚を味わえる。それは大きなやりがいです。
迷っているなら、まずは情報を集めてみてほしい
- 年齢や経歴に関係なく、新しいスタートを切れる場所がある
- 家庭や体調と両立できる働き方も選べる
- 誰かの役に立てる、感謝される、そんな日々が待っている
「もう遅いかも」と思っても、「まだできるかもしれない」と思えたなら、それが一歩目です。
筆者もそうやって、この道を選びました。
補足:この記事では中高年向けに筆者の実体験を交えて解説しました。制度や働き方の詳細は下記の記事も参考にしてください。