タクシードライバーの仕事は、多くの魅力がありますが、未経験者にとっては知らずに過ごすと後悔することもある厳しい側面が存在します。
自由な勤務時間や人とのふれあい、景気の良い日に得られる高収入といったポジティブな面ばかりに目を向けるのではなく、実際に働く中で直面する現実的な課題にも目を向けることが大切です。
結論【先に知っておいてほしいこと】
タクシードライバーの仕事には「自由度」や「人とのふれあい」といった魅力がある一方で、未経験者が見落としがちな“きつい現実”もあります。
- 収入の波が大きい
- 長時間運転による心身の負担
- 理不尽なクレームや地理プレッシャー
こうした現実を知ったうえで、自分に合う働き方を選ぶことが、後悔しない転職の第一歩です。
この記事では、タクシードライバーとしての仕事を始める前に知っておくべきネガティブな側面を、実体験を交えて紹介します。これらを理解した上で、自分に合った働き方を選ぶための参考にしてください。
- タクシー業界の 収入の実情と安定性
- 長時間運転の負担と体調管理の重要性
- 新人が直面しやすいクレーム対応
- 地理や道案内のプレッシャーへの対処法
- 専門性・キャリア展望の限界と可能性
- 集中力の低下によるリスクと対策
- 未経験者が押さえるべき 準備と心構え

タクまる|現役昼日勤ドライバー(中の人のリアルを代弁中)
元・公務員→福祉業界を経て、地方で昼日勤として働くタクシードライバーに転職した「中の人」の体験談を、タクまるがわかりやすくお伝えします。
1. 収入の不安定さ

タクシードライバーの収入は、完全歩合制が一般的であり、頑張り次第で高収入が目指せるものの、安定性には欠けます。
新人時代の収入
新人の頃、最低賃金分は売上たいと思いながら走っていましたが、初めのうちはそれだけでは生活が難しいと感じることが多いです。タクシー会社によっては、数ヶ月の保証給が支払われ、その間に仕事の勘やノウハウを蓄積することができますが、それでも最低賃金レベルの収入では安定して生活するのが難しいでしょう。

3ヶ月過ぎた頃には乗務開始当初より1日の売上が増えて安定するようになりました
閑散期の対応
観光地エリアを中心に活動するドライバーにとって、観光シーズンが過ぎると収入が大きく落ち込む閑散期が訪れます。しかし、その時期にどう立ち回るかが重要です。観光地の需要が落ちている時期でも、地域のニーズに合わせて動き、観光地ではなく地域の需要を拾うことで安定した収入を確保することが可能です。



観光地もまわりますが、地域を周る比重を増やす感じです
2. 精神的・肉体的負担
タクシードライバーの仕事は長時間運転を強いられ、身体的にも精神的にも大きな負担がかかります。
集中力の低下


長時間の運転や連日の乗務が続くと、どうしても集中力が途切れそうになることがあります。疲労が蓄積し、運転中に注意散漫になりがちです。これは、安全運転を心掛けていても、非常に危険な状態を引き起こす可能性があります。そのため、休憩のタイミングを見逃さないようにすることが重要です。
休憩が取りづらい
一度走り出すと、お客様を拾えるかもしれないという思いから、休憩を取るタイミングを失うことがあります。仕事に集中しすぎるあまり、休憩や食事を後回しにすることもあります。休憩を取る線引きを自分で決めて、体調管理をしっかり行うことが求められます。



コンビニを見つけたら休憩に入ろう!と意識して走っています
3. クレーム対応
タクシードライバーの仕事では、日々様々なクレームや不測の事態に直面することがあります。
理不尽なクレーム


乗車時に空港までの料金をおおまかにお伝えし、走行中に少し料金が越えてしまいました。すると、女性客に舌打ちをされ、助手席を蹴られた経験があります。こうした理不尽なクレームは日常的に起こり得ます。
さらに、目的地を少し通り過ぎてしまった際に、メーター超過分(100円・200円)を返金しろというクレームが営業所に入ることもありました。経験値が浅いゆえに起きた事です。



100円返せは草
こうした場合、冷静に対応することが求められますが、精神的に辛くなることも少なくありません。「新人なので〜」と枕詞を添えて事前に予防線を張っていると防げます。
4. 地理や土地勘のプレッシャー
タクシードライバーとして働く際、土地勘がないことが大きなストレスとなる場合があります。
地理へのプレッシャー
特に土地勘がないと感じることが多い新人の頃、目的地までのルートを案内してもらうことに対してプレッシャーを感じます。
「ドライバーなのに(道がわからないのか)?」という問いに対しては、素直に「直近のお客様をお乗せして地元から大きく離れてしまい、土地に疎い」と伝えました。



無理に地元民のように振る舞うよりも、正直に伝えることが一番です。
5. 専門性が高まりにくい
タクシードライバーの仕事には、他の職業に比べて専門性を高めるのが難しいという特徴があります。
勘がモノを言う仕事
タクシードライバーは、勘や経験が重要となり、再現性がないことがあります。プロとしての技術は確かにありますが、確率を上げるという側面が強いです。そのため、専門的なスキルを高めることが難しく、同じような仕事を繰り返すことに限界を感じることもあるかもしれません。



営業所まで最短距離じゃなく遠回りになるけど住宅街を流してみるか。という勘が当たりアプリが鳴る事があります。
運行管理者という道もあるが


運行管理者の道もありますが、これは(6時〜18時など)拘束時間が長いため、家庭とのバランスを取ることが難しくなることもあります。
6. 集中力の欠如による危険
タクシードライバーは、長時間運転し続けるため、気づかないうちに集中力を保つのが難しくなることがあります。特に不慣れな場所を走行しているときや、疲れがたまっている状態では、普段通りの運転ができないことがあり、危険な状況を引き起こす可能性があります。
不慣れな場所での運転
新人ドライバーは、土地勘がないため、不慣れな場所を運転する際に不安や迷いが生じることが多いです。加えて、疲れや集中力の欠如から、普段では考えられないような危険な運転をしてしまうことがあります。
集中力の欠如によるミス
長時間運転を続けると、どうしても集中力が途切れてしまい、運転に支障をきたします。
私自身も、長時間運転し続けて集中力が切れかけているとき、外国人のお客様に「What are you doing?(何してるんだ)」と言われたことがあります。


その言葉を聞いた瞬間、自分の運転に対する反省が一気に押し寄せ、集中力を欠いていたことに強く気づきました。
休憩の重要性
このような状況を避けるためには、定期的な休憩を取ることが非常に重要です。お客様を優先しがちですが、自分自身の健康と安全を最優先に考える必要があります。



休憩をしっかりと取り、リフレッシュすることで、安全運転を維持することが可能になります。
未経験者へのアドバイス
事前の準備と計画
新人のうちは、特に不慣れな土地やエリアを運転する際に、不安や焦りを感じやすいです。お客様を乗せてから出発する前にタブレット端末で目的地やルートを確認する事が安心に繋がります。
適切な休憩を取る


長時間の運転中には、適切なタイミングで休憩を取ることが不可欠です。コンビニでの短い休憩や、水分補給だけでも大きな違いを生みます。
自分の状態を意識する
疲れがたまると集中力が落ちることは避けられません。そのため、疲れを感じたら無理せず、すぐに休むようにしましょう。
まとめ
タクシードライバーの仕事は、自由な時間や高収入が魅力的に見える一方で、未経験者には想像しにくい精神的・肉体的な負担が存在します。



運転しながらお客様を探すため視線移動が多く、思う以上に疲れます。
また、クレーム対応や地理へのプレッシャー、長時間の運転での集中力の低下など、さまざまなストレス要因が絡みます。これらのネガティブな側面を十分に理解し、自己管理や対処法を身につけることが、成功するための鍵です。



クレームが入ると営業所から指導が入る(グチグチ言われる)のが個人的には面倒くさいです。
タクシードライバーとして働くことに興味がある方は、これらの現実的な課題を踏まえた上で、自分に合った働き方を慎重に選んでください。
しっかりと準備し、心構えを持つことで、タクシードライバーとしてのキャリアをより充実させることができるでしょう。
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研修で「きつい」を「できる」に変える
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